『多類婚姻譚』-結婚ってどんなもの?

小説単行本悲しい社会人恋愛結婚

「結婚」-「人生の墓場」とも揶揄される人生で(おそらく/多くの場合)最も大きいものの1つであると考えられるイベント。しばしば理想化されることもあるが、本作は通常のハッピーエンドには回収されない人々の苦難(struggle?)を克明に描き出したものである。

多類婚姻譚 書影

多類婚姻譚

凪良ゆう

講談社

一緒に生きる。わかりあえないあなたと。 一番近くにいる他人-こいびと-。どうして結婚はこんなに難しくなってしまったのだろう。 『流浪の月』『汝、星のごとく』で二度の本屋大賞を受賞した著者が描く、今そこにある愛のかたち。 セクシュアリティ/ジェンダー、金銭感覚、世代間格差、成育環境…… あらゆる価値観の対立の中で現代を生きるわたしたちの祈りと叫び。

※ 以下、ネタバレを含みます。

パートごと感想

Thank you for your understanding

母親は「あなたたちが一番自分たちを特別扱いしているでしょう」と言っていたけど、でも別にもし樹が男子だったらお菓子をもっていかなくても、服装がだらけていたとしても、なんだかんだ許されていただろうし、この点をわざわざ東京までおいかけて主張するのは恐ろしいと思った。

Beautiful Dreamer

結婚したいという想いが恵斗にとどかないというのはなんとも歯がゆい。ただ、遅刻しても謝らなかったり、他のことを優先したりと、あまりよい人ではなさそう(かなりオブラートに包んだ言い方)。
彼を叱って別れさせた大地はよくやったといった感じである。結婚の決断が付かず....というのは辻村美月『傲慢と偏見』と通じている...? ただあまり実感がわかないのだが、10年たてばわかるのか......?
個人的には5つの中で一番好みかな。

小鳥たち

二人とも、波乱を乗り越えているのに、妙な形で落ち着いており、普通に尊敬したいと思う。
書店がこれからも存続していくことを祈ります。

Position Talk

なんとも悲しい結末である。
婚約者がいるのにもかかわらず、幼馴染を家にあげるのは、人にもよるが、(僕自身の価値観だと)まあ非常識的な行動だと思った。
語り口調を見ていると、男性側が大丈夫だと「思っている」ように描写しゃれており、不穏な空気をつかみ取るのは難しくはなかった。
でも、女性側からは男性がどう行動しようがこう見られるしかないと考えると、少し考えさせられるものであった。
異動が根本の原因といったことだったが、これを乗り越えられる未来は果たしてあったのだろうか?

C'est la vie

最後の話だったが、誠に残念ながら、あまりピンとは来なかった。読み進めていて、初めて3号店の話がそこまで大きな事案であることを理解した。この点で坂元シェフと同じなのかもしれない。確かに、実力が重視される仕事において入ったばかりの新人と同じ立場とされた方が、愛で同じ立場にされるより、苦しいかもしれない。
とりあえず、終わりがハッピーエンド的な感じで安心した。終わり方は山本文緒『恋愛中毒』のデジャヴを思い出された(終わり方のベクトルは異なるが)